三機工業株式会社

サステナビリティ

SUSTAINABILITY

ATLANTIS RESEARCH EXPEDITION 三機工業が支える南極地域観測

三機工業が支える南極地域観測

三機工業は、1991年の第33次南極地域観測隊から2022年の64次隊まで、総勢19名の従業員を南極地域観測事業に送り出してきました。 南極を知ることは、地球と人類の未来を読み解くことにつながっており、持続可能な未来を形づくるために必要不可欠です。当社が事業を通じて培った技術力は、 南極という極地における観測事業を支えています。

南極地域観測隊とは

南極域での環境変動と地球システムの解明を目的に、文部科学大臣を本部長とする南極地域観測統合推進本部が実施する国家事業で、1956年の第1次観測隊から開始されました。国立極地研究所は実施中核機関として、観測計画の立案・実施、隊員編成、基地設備の運用等を担当しています。南極地域観測隊は夏隊と越冬隊に分かれ、夏隊は12月~2月の3カ月間、越冬隊はさらに冬を越えて1年間観測を続けます。昭和基地を拠点に限られた人数で観測から生活までを行うため、隊員はその道の専門家であることが求められます。

昭和基地の環境保全業務を担う

三機工業が初めて南極と接点を持ったのは、昭和基地が開設された1957年、第2次観測隊に資材搬入用のローラコンベヤ30台を納入したことがきっかけでした。時は流れ、環境問題が一般にも広がりつつあった1991年、南極地域の平和利用等を定めた南極条約に「環境保護に関する南極条約議定書」が追加条項として採択され、日本の南極観測の現場においても環境技術の専門家を育てようという機運が高まりました。第33次越冬隊に国立極地研究所の極地観測職員という形で、初めて三機工業から人員が送り出されることになったのも、こうした背景があったからです。

各分野のエキスパートが集う観測隊において、当社の技術者に課せられる役割は、環境保全が主たる業務です。当時、南極では多くの廃棄物が戸外で焼却されるか、基地内や周辺に残置されることが常態化しており、日々の生活や研究活動から生じる廃棄物の分別・処理方法を確立することが、当初は重要な課題でした。これに加えて現在は、基地内の水処理施設や空調設備の維持・管理も、ほかに代わりのいない重要な仕事です。 1991年、南極地域の平和利用等を定めた南極条約に「環境保護に関する南極条約議定書」が追加条項として採択され、日本の南極観測の現場においても環境技術の専門家を育てようという機運が高まりました。第33次越冬隊に国立極地研究所の極地観測職員という形で、初めて三機工業から人員が送り出されることになったのも、こうした背景があったからです。

汚水処理設備の更新、基本観測棟の新設に貢献

2005年に積年の廃棄物を日本に持ち帰る「昭和基地クリーンアップ4カ年計画」が開始されると、当社から送り出された職員が自ら重機を操って作業をするなど専門外の領域で働くこともありました。2010年代最大のミッションは、老朽化した汚水処理設備の更新でした。物資の搬入から新汚水処理設備が本格稼働するまで足かけ5年――その間、当社から送り出された歴代隊員は前任者の想いとともにバトンを引き継ぎ、この重要なミッションを成し遂げました。

当社では南極観測隊に送り出す人員を社内公募で選んでいます。当初、南極で業務を行う可能性があったのは、水処理や廃棄物処理の技術者である環境システム部門の従業員のみ。しかし2010年代後半、昭和基地に基本観測棟の新設プロジェクトが持ち上がり、その空調・衛生設備を構築するために、建築設備部門の従業員にも門戸が開かれました。基本観測棟は約3年をかけて2019年11月に竣工しました。

2023年3月現在、昭和基地に滞在中の第64次越冬隊に、当社グループ従業員が国立極地研究所の職員として送り出されています。彼らが果たす役割は観測系の隊員を支援する設営系に当たりますが、観測事業そのものを支えるという意味で必要不可欠な仕事です。これからも三機工業は、地球環境の未来を見つめる観測事業に人と技術で貢献していきます。