三機工業株式会社

ニュースリリース

建設施工現場向けIoTセンサネットワークを開発
-熱中症見守りシステムに適用-

2018年6月21日

 三機工業株式会社(社長:長谷川 勉)は、建設施工現場向けIoTセンサネットワークを開発し、施工現場内を集中監視する熱中症見守りシステムに適用しました。
 開発したIoTセンサネットワークは、相互に中継し合うマルチホップ無線※1により大型現場でも運用できる通信距離と、単三乾電池で動作する設置の容易さを備えており、センサ情報を当社の情報インフラであるエスクラウド®※2へ伝送します。この技術を利用して熱中症の指標WBGT値※3を計測するセンサユニットと、エスクラウド®上で稼働する熱中症見守りシステムを開発しました。建設施工現場における安全性と生産性を向上させるため、様々なデータを収集しクラウドを通じて支援サービスを提供するための情報インフラとして活用を目指します。

●背景
 建設業におけるIoT導入として、建設現場における各種情報を無線通信とクラウドを用いて支援するサービスの構築が進められています。しかしながら施工現場ではネットワーク設備の定置には制約が多く、またこれまでのIoT向け無線通信では大型現場内での到達距離や電源供給などの運用に課題がありました。一方、最近になり920MHz帯マルチホップ無線で広いエリアを伝送でき、かつ超省電力で動作する特定小電力無線モジュールが開発されました。当社ではこの技術を利用したIoTセンサネットワークを開発し、熱中症見守り※4を行うシステムとして昨年度から自社ビルの施工現場で実証試験を行ってまいりました。

●システムの構成
  開発したIoTセンサネットワークは、920MHz帯マルチホップ無線と計測センサを制御するマイコンを一体化した超省電力設計のセンサユニット子機、親機およびIoT専用回線によりインターネット接続するゲートウェイ、エスクラウド®上のソフトウェアで構成しています。
 センサユニット(子機)は熱中症計測用に黒球とラジエーションシールドを備え、温度・湿度・黒球温度を計測します。測定値は親機へ伝送され、エスクラウド®上の熱中症見守りシステムでWBGT値が演算され、インターネット経由で予め登録したユーザーの携帯端末へ警戒警報を送信します。またセンサユニット(子機)が備えたLEDライトを点滅させ、センサ設置箇所での警報通知を行います。

●システムの特徴
   ◆設置の容易さ
   IoTセンサネットワークは電池で長時間動作する無線通信のため、現場内の必要な箇所に置くだけで容易に設置できます。工事の進捗に合わせ柔軟に配置を変更できます。

  ◆マルチホップ無線の採用
 マルチホップ無線によるメッシュネットワークの採用で広範囲を見守ることができ、大型現場へ適用することが可能となりました。

  ◆タイムリーな見守り
 現場内各所の作業環境を集中的に見守るため、専用のアプリケーションを開発しました。WBGT値の見える化や定時メール、トレンドグラフ機能により、各所のタイムリーな見守りがタブレット等でどこからでも行うことができます。警報発生時には現場管理人や作業者へメール送信し、またそれぞれの管理範囲に応じた内容とすることできめ細かな見守りを行います。

●建築施工現場での確認状況
   地下1F、地上6Fの事務所ビルの施工現場において実証試験を行いました。1F事務室に配置した親機から6Fまで、11台のセンサ子機が最大7段の中継を行い、垂直方向に6フロア、更に水平方向に100mの通信を行い、大型施工現場における見守りが可能なことを確認しました。

●今後の展開
   熱中症見守りについて当社施工現場での利用を図ってまいります。また熱中症に限らず、作業員の位置や作業内容の見守り、資機材の管理と盗難防止、温湿度や風速・漏水・電流値など様々なセンサ情報による効率化など、施工現場を総合的に支援するシステムへと展開してまいります。

※1 マルチホップ無線
 子機と親機の通信を、親機を中心としたスター型でなく、子機同士が相互に通信しあうことでメッシュネットワークを構成する無線方式。

※2 エスクラウド®
 ITベンダーが提供するパブリッククラウド上に構築した、当社独自のクラウドシステム。

※3 WBGT値
 熱中症予防に用いられる指標。乾球温度、湿球温度、グローブ温度より算出される値。

※4 熱中症見守り
 職場における熱中症の死傷者数は年間400人~500人で推移しています。業種別の熱中症の死傷者数は建設業が最も多く、平成29年の全業種の熱中症死傷者数528人のうち、建設業の死傷者数は139人でした。このため、厚生労働省は熱中症の予防対策を重点的に行うように求めており、WBGT値による作業環境の管理や頻繁に作業環境を巡視することが求められています。当社の現場では係員が一日に3回程度、作業場所ごとでWBGT値を測定して熱中症予防に努めていますが、開発した本システムで現場係員のタイムリーな熱中症見守りや遠方の拠点から現場の熱中症を見守り支援することが可能となります。