三機工業株式会社

ニュースリリース

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大空間向け温度成層形空調システムの開発

2012年7月 3日

 三機工業株式会社(社長:梶浦 卓一)は、工場や体育館などの大空間向け空調システムとして、夏期冷房時は温度成層を形成して省エネルギーをはかり、冬期暖房時は冷気(コールドドラフト)を抑制して足元まで暖かな空調を実現する大空間向け温度成層形空調システムを開発しました。空調用の吹出口は、床面から3m以上の高所に設けられることから、作業域となる床面には空調器具が存在しません。その結果、フロアスペースを最大限に有効活用することができます。

 

開発の背景

工場、体育館などの高天井・大空間に対する空調設備において、従来技術では下記のような問題がありました。

  1. 空調を必要とするのは、人が作業、運動する床面2~3mまでの空間であるにも関わらず、大空間全体を空調して、多くのエネルギーを消費する。

  2. 置換空調方式を採用すると夏期冷房時の省エネは図れるものの、特殊吹出口が高価、夏冬で各吹出口ごとにダンパー開度変更作業が必要、床面に大きな吹出口が設置されるなどの問題がある。

  3. 冬期には壁面が冷却されて起こるコールドドラフトにより、足元に冷気が滞留する。

  4. 上記問題を回避するために、夏期の冷房用にスポット空調設備、冬期の暖房用にペリメータ暖房設備という二重設備を設けると、コストがかかる。

これらの問題に対し、冷房・暖房を同一の設備で、しかも季節間の切替作業無く運用でき、省エネ、快適で安価な空調設備が求められてきました。

システムの概要

 新しく開発した温度成層形空調システムは建物内の床面3m以上の高さの壁面にダクトをループ状に配置し、そのダクトの下面に取り付けた特殊吹出口から床面に向かって高速な気流を吹き出すことにより、大空間の空調を効率的に行います。吹き出し空気を高速にすることで、周辺の空気を誘引しながら、壁に沿ってカーテン状に下降気流を形成します。この下降気流が冬には外壁から室内へ侵入しようとするコールドドラフトを遮断し、足元まで効果的な暖房を実現します。カーテン状の下降気流は床面に衝突した後、室内の中央方向へ気流が変化します。夏にはこのゆるやかな気流に乗って室内に供給された冷涼な空気は、温度による密度差によって下層のみに蓄積され、温度成層を形成します。工場や体育館のような大空間であっても冷気は人の作業エリア(床上3m以下)のみ供給され、大幅な省エネルギーを図ることができます。

システムの概要

 

システムの特長

  1. 夏は省エネルギー
    夏期は室内に空気の密度差による温度成層が形成され、その結果、下層の作業エリアのみ冷房され、上層の人がいないエリアは冷房されないので大きな省エネルギー効果が得られます。弊社技術研究所における実績では、最大40%の省エネ効果を得ることができました。

  2. 冬は快適
    冬期は、外壁から進入しようとする冷気を、建物内の壁面に沿ったカーテン状の暖房気流によって遮断することにより、足元まで快適な暖房を実現します。暖房時の吹き出し空気温度は40℃未満であることから、一般的なヒートポンプ熱源の利用が可能です。システムの特長

  3. フロアスペースを最大限利用
    建物内の壁面に沿ったダクト(ループ状)と、そのダクトの下面に設けられた特殊吹出口から構成されるダクトシステムで、床面を占有する空調機器等を不要にすることが可能です。このため工場などのフロアスペースを最大限効率的に利用することができます。

  4. 施工が容易
    大空間では、室内の中央部におけるダクト工事や吊元工事などの施工が困難でした。本システムでは建物内の壁面に沿ってダクトを敷設する方法のため、壁からサポートを取るだけの工事で済み、施工が容易です。
    建物内の壁面に沿ったダクト(ループ状)と、そのダクトの下面に設けられた特殊吹出口から構成されるダクトシステムで、床面を占有する空調機器等を不要にすることが可能です。このため工場などのフロアスペースを最大限効率的に利用することができます。

  5. 風量調整が不要
    ダクト下面に設けられた特殊吹出口は、ダクト(ループ状)のどの位置でも均等な風量を得ることが出来る構造となっているため、風量調整は不要です。

  6. 気流感がない
    壁面近傍の下降流が形成されるエリア以外の室内では、床面を沿ったゆっくりとした気流が形成されるため、ほとんどドラフト感がありません。

今後の展開

 工場や体育館などの大空間向けの、省エネルギー・快適・簡単な空調方式として、積極的に営業展開を図り、初年度は5億円の受注を見込んでいます。

 

以上

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