データセンタの高発熱サーバ冷却装置「フロントエア®」の開発 - サーバラック設置スペースの増加可能(最大3.8倍) -
2014年5月28日
三機工業株式会社(代表取締役社長執行役員:梶浦 卓一)は、データセンタ(以下:DCという)を対象に、高発熱サーバラックを適切に冷却する高発熱サーバ冷却装置「フロントエア(Front Air)®」(※1)を開発しました。
開発の背景
情報化社会の進展に伴い、DCの建設は増加傾向にあり、サーバラックの使用電力も高密度化し、発熱量が増大しています。
従来の二重床空調方式(※2)DCでは、床パネルから吹出す風量に限界があり、それを超える高発熱サーバラック(※3)を十分に冷却することができないため高温となり、その発熱が周囲のサーバラックの温度環境にも悪影響を及ぼしています。
概要と3大特徴
- 【概要】
- フロントエアはラック型の送風ユニットで二重床下の冷気を使って高発熱サーバ (MAX30kw)を適切に冷却する装置です。高発熱サーバラックの対面に設置して、二重床下の冷気を引き込み、フロントエアの全面から吹き出し、高発熱 サーバラックを適切に冷却します。フロントエア内部には、小型ファンが分割搭載されており、冗長性を確保すると同時に、発熱面分布に合わせた個別風量調整 も可能としています。
- 【3大特徴】
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- (a).高発熱サーバを適切に冷却
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二重床空調方式に高発熱サーバを設置すると、床パネルからの垂直上向き気流が、サーバ近傍で水平方 向に吸引されるので風量にバラツキが生じ、また床パネルの面積も小さいので風量に限界があり、従来の改善策として床吹出ファンとコールドアイルキャッピン グ(サーバラック前面の冷気通路空間の囲い)にて対応していました。
フロントエア方式では、高発熱サーバラック前面から水平にほぼ均一な給気をするため、コールドアイルキャッピングが不要となりました。
また従来によくみられたラック高さ方向の温度分布も大幅に改善され、ラック高さ方向に発熱が偏在する場合には、分割されたファンユニットをそれに合わせて風量調整することで、対応が行い易くなっています。
さらに、空調システム全体の省エネ化にも寄与します。従来の二重床空調方式で局所高発熱サーバラックに対応する場合、全体空調機の風量をアップします。このため、低発熱サーバラックにまで余分に風量が増加し、搬送動力に無駄が生じてしまいます。
フロントエアは高発熱サーバラックにのみ、必要風量を供給することができます。
●効果の概念図(高発熱サーバを適切冷却し、かつ全体空調機を省エネ化)
- (b).サーバラック設置スペースの効率化
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フロントエアは、設置にサーバラック1台分のスペースを使いますが、スペース効率が高くなり、トータルでは従来比3倍容量以上のラックが増設可能です。
●設置スペースの概念図(従来方式に比べフロントエア方式ではサーバ容量が増強)
- (c).設置が容易
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構造的に冷水コイルや冷媒コイルを有していないので、サーバ室や二重床内の配管工事が不要です。設置に必要なのは電源とスペースのみで床下冷気の送風に機能を絞ることにより、設置を容易にしています。
これらの特長のほか、ファンの多数搭載や万一の故障時への警報機能により、冗長性と信頼性を確保しています。また、ファンの交換は他のファンが運転を続けたまま短時間で出来るよう配慮しています。
費用
装置本体の予定価格¥2,000,000(税抜、標準仕様)に、据付費が加わります。(電気工事や中央監視工事は別途)。
今後の展開
リニューアル工事をはじめとして新築工事についてもフロントエアを積極的に取り入れ、DCにおける機能確保や問題解決に貢献できる技術として、全体の空調設備工事と組み合わせて市場拡大とサービスの拡充を図る予定です。
●外観図 | ●標準仕様 |
※1: | フロントエアは三機工業株式会社の登録商標です。(登録番号:5657913)以降は、®はつけません。 |
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※2: |
二重床空調方式 下吹きの全体空調機により二重床を経由し、床から冷風を給気する方式。サーバ発熱を処理した温風は、天井を経由して機械室の全体空調機に戻り、循環します。 |
※3: |
高発熱サーバラックとは 4~6kWを超える電力消費(発熱量)を有するサーバが目安となり、高密度の情報機器や計算サーバなどが該当します。 |
以上
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