次世代電池評価向け環境試験設備を開発
―広範囲な温度条件を、高精度かつ省エネルギーに実現―
2021年6月 2日
三機工業株式会社(社長:石田 博一)は、電気自動車やモバイル機器の普及にともない、安全性や高エネルギー密度化など性能の大幅向上が期待され技術開発が進む“次世代電池”の評価用向け環境試験設備を開発し、当社のR&Dセンター(神奈川県大和市)に実装しました。この環境試験設備は、-40~+100℃までの広範囲な温度条件に対して、±0.3℃以内の高精度の制御性を有し、従来比で約40%の運転エネルギーを削減します。
●背景
車両や電子部品などの評価試験が行われる環境試験設備には、広範囲の温度条件の設定が可能であることに加え、それぞれの温度帯で高精度な制御性が求められます。自動車の電動化や自動運転装置の普及、通信分野におけるモバイル機器の高性能化が加速するにつれ、このような環境試験設備は今後、需要の増加が見込まれています。特に車載用電池の評価試験においては、-40~+100℃という非常に広範囲な温度条件が必要とされています。
●システムの特長
1.当社独自の制御ロジックを用いた高精度な温度制御を実現
2.ヒーターレスによる省エネルギー型システムの構築
広範囲な温度条件で室内の発熱負荷が変動する場合、温度制御が不安定になることがあります。従来、求められる温度条件を満たすためには、冷却装置で室内温度より低い温度まで下げ、その後、制御の容易な電気ヒーター等で再加熱制御を行っていました。本開発では高温冷媒(ホットガス)と、フィードフォワードの概念を取り入れた独自のロジック(特許出願中)で制御を行うことで、直膨コイルによる冷却方式でも再加熱用のヒーターを用いずに、最高精度±0.3℃(負荷一定時)の温度制御と約40%の省エネルギーを実現しました。
環境試験設備
消費エネルギー試算
●環境試験設備の実装
当社R&Dセンター(神奈川県大和市)に今回の独自の直膨方式を採用した環境試験設備を実装しました(床面積20m2、天井高さ2.2m)。今後はさらなる高性能化を目指して検証を進めるとともに、オープンイノベーションの場としても積極的に活用してまいります。
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