オフィス向けスマート空調システム「selFort(セルフォート)」を開発 -在室者の好みに合わせた質の高い空調を実現-
2018年12月12日
三機工業株式会社(社長:長谷川 勉)は、オフィスの室内温度を適切に管理しながら在室者の好みに応じた空調が可能なスマート空調システム「selFortTM(セルフォート)」を開発しました。selFortTMは、在室者が天井に設置された吹出口1台単位で空調風量を調整できるため、室内の熱負荷の偏在や個人の温冷感に合わせるなど多様な空調ニーズに応えることができます。
●開発の背景
セントラル空調方式を採用したオフィスビルでは、室内熱負荷の変動に合わせて送風量を制御して対応する可変風量方式(以下、VAV方式)が広く採用されています。VAV方式では、概ね50~100m2の比較的広い制御ゾーンに対する送風量を空調機の給気ダクトに敷設された各VAV(可変風量装置)によって調整し、温度ムラの少ない温熱環境を形成しています。一方で、オフィスにおける知的生産性の向上に影響を与えるとされる在室者の熱的な快適感は、性別・年齢や執務状況などによって異なるため、従来のセントラル空調方式では個別に対応することが困難でした。さらに、建設業における施工技術者の減少などの社会的背景から、施工の省力化や高効率化がますます重要になってきています。
●システムの概要
selFortTMは、天井内に空調空気を直接供給し、天井面の約10m2毎に設置した軽量小型のファン付吹出口(FDU:Fan Diffuser Unit)を用いて、室内の必要な場所に、必要な風量を送風するダクトレス空調方式です。吹出口の風量設定はPCやタブレット端末などを用いて、執務者が自由に1台単位で操作が可能です。FDUの風量制御は、電力線通信(※1)を採用しているため専用の制御配線が不要です。FDUへの給気ダクトが必要なく、かつ、シンプルな電力配線のみで構成されているため、ダクト工事量を削減するとともに、運用後のレイアウト変更にも簡単に対応できる空調システムです。
selFortTMの概要
操作画面 |
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●『selFortTM(セルフォート)』の特長
1.在室者の好みに合わせた吹出口毎の風量制御
selFortTMは、在室者が自ら吹出口の吹出風量を調整できる空調システムです。吹出口単位という最小単位でのきめ細かな風量制御がPCやタブレット端末、スマートフォンで操作できます。
2:レイアウトフリー
FDUはコンセント接続であり、かつ軽量のため、吹出口位置の変更を容易に行うことができます。従来のようなレイアウト変更に伴うダクトの盛替えや大がかりな工事は不要で、室内のレイアウトに合わせた吹出口の移設・増設を簡単に行うことができます。
3:省エネ運用に貢献
selFortTMは空調機廻りの最小限の給気ダクトしかありません。天井内の給気ダクトを排除した天井チャンバー方式の採用により、必要な分だけをFDUで送風するため、従来のVAV方式に比べて最大7%の空気搬送動力削減ができると試算しています。また、居住者にて自由に操作ができるため、FDUのこまめな停止操作によってさらなる省エネ効果を発揮する可能性があります。
●今後の展開
新たに完成した当社の総合研修・研究施設「三機テクノセンター」へ実機導入し、施工性を含めた効果を検証済みで、来春の商品化を目指し導入コストなどの検討を継続中です。また、個人で操作できるという特長に加え、IoT、AI技術と連携させた先進的な快適空調システムを実現し、ウェルネスオフィスの推進に貢献してまいります。
※1 当社の開発品である照明制御システムSSOM(Sanki Smart Office Manager)の電力線通信技術を応用
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